
土四郎が行く『SEMA Show 2025』(最終回)

27歳
素人代表イベントレポータ。
SEMAの規模に圧倒され、最後までズレていた。

21歳
通訳・案内役の浪花ハーフ。
最初からズレていた。
(続き)

「えーえすじゃぽんのブースがどこにあるのか自分知っとるンか?」

「確かノースホールのどこかやと聞いた記憶が」

「ほなコッチやな。急げやワレ」


「あっ!見つけた!あそこや。ALESSって書いてある」

「あれはブースの裏側やな。正面に回り込むで」


「・・・・・・あれ?」

「なんや」

「確かにALESSのブースやけど・・・なんかいつもと様子が違うな。
今回はカスタムセダン置いてないんか。珍しい」

「カッケー車、置いてあるやんけ!ワタシこーゆーのシブくて好きやで」

「(trrrrrrrrr)あ、柴木パイセンからの国際電話や」(ガチャコ)

『・・・・とうとう気付いてしまったのね・・・』

「まだ何もゆーてへんのだが」

『そこに在るのはメルセデスベンツGクラス”ゲレンデ”のナロースタイル。
エーエスジャパングループ「トップスピード」のカスタム技術が光る、珠玉の特別仕様車よ』

トップスピード | 岐阜県輸入車カスタム【GARAGE TOP SPEED】

「あ、いやそーではなくて」

『クラシックな「Mercedes-Benz W460 Style」を再現したオリジナルカスタムモデルで、レトロなW460デザインと現代的な仕上げを融合させたこのモデルはまさに「Made in japanのクオリティ」として海外バイヤーやカーメディアから高い関心をいただきました』

「アンタ何か読んでるやろ」

『と、とにかく今回ALESSはこのトップスピードの出展を全力でサポートする立場なの!あなたもチラシくらい配っときなさい1000枚くらい!』

「なんでVIPカー置いてへんの?」

『(・・・ゴニョゴニョ・・・)』

「よく聞こえません」

『全ては、台風のせいなのっっ!』

「なんだ急に」

『現地に届ける予定だったもう一台のデモカーを載せたコンテナ船が台風のせいで間に合わなくなったのよ!!』

「アララ・・・」

『いろいろ手を打ったけど他にもメンドくせえ様々な問題がいくつも重なって、結局断腸の思いで二台出展は断念したのよ!』

「アララララララ・・・」

『そういうワケだからアンタも今からトップスピードを盛り上げなさい!チラシ配りなさい2000枚くらい!会社のカネで行ってんだから働きなさいっ!あ、あと土産よろしく(ガチャ)』

「・・・・・・・・」

「結局ナンやってん」

「テンキの都合とオトナの事情」


「どや、SEMAの感想は?ニッポンとはスケールがケタ違いやったろ」

「ああ。ただ海を越えた遠い異国でも、車を愛するバカたちの”熱に浮かされっぷり”は一緒だな」

「うわっっ!!誰やお前!どっから湧いて出た!?」

「やだなぁ、土四郎だよ。ずっと一緒だったじゃないか。何言ってんの」

(イケメンVer.)
カッコイイ車を見ると、自身も
少しの間だけ変身する体質らしい

「変わり過ぎやろ!キモいわ」

「アメリカでも日本でも、こういう文化に眉を顰める人たちも一定数いる。俺もVIPカーに乗るまではそっち側の人間だった。
でもさ、今はこう思うんだ。”ひょっとしたらコレこそが人間の本質なのかもしれない”ってね。俺もラスベガスの熱気に当てられたかな」

「コッカクどころかジンカクまで変わっとるで自分」

「車はまごうことなき道具さ。その誕生の背景には移動を楽にしたい、荷物をたくさん運びたいというシンプルな目的があり、そのための手段に過ぎなかった。動けばそれで良い。
しかし”どうせなら楽しく乗ろうぜ”、”もっとカッコ良くしようぜ”と考える奴が出てきた。本来の目的と全く関係ない方向に凝り出す奴が出てきたんだ。興味ない者にとって彼らはバカとしか映らないだろう。でも唯一つ確かに言えることがある。
それはこの会場に集まっている様々な人種の人たちが、皆、”笑っている”ということさ」

「(な、なんやねんコイツ・・・・急にカッコイイこと言いくさりよってからに・・・・)」







「仏頂面なんて居ない。誰もが笑い、喝采を上げ、踊っている。車が好きという、たった一つの共通点だけで。
短い人生、楽しんだモン勝ちだ。”道具”を楽しむ。遊ぶ。飾る。競う。そして、愛する。こんなん動物の中で人間だけだ」

「・・・・・・・・ほ、」

「つまり、人間の人間足らしめてるものとは、きっとこういうことなんだ」

「惚れてまうやろぉおおおおおおーーーーーっっ!!」

「というわけで土産買うからカネ貸してくで」

「あ、またちんちくりんに戻った。ニッポンジンよくわからん」
土四郎が行く「SEMA Show 2025」
おしまい

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