第11回|ハイブリッド車とは

逃がさへんでー

「カンベンしてよもう」

「(黙殺)ハイブリッド車は知ってるよね。従来の内燃式ガソリンエンジンと、電気で回る駆動モーターを併設した、2系統の動力を持つ車

「普段はモーターで走って、バッテリーが減ってきたらガソリンエンジンの方に切り替えて、充電出来たらまたモーターに切り替わるんだよね確か。それくらいは知ってる」

「燃料で動き、スタミナに長けるガソリンエンジン。電気で動き、瞬発力に長ける電動モーター。それぞれ得手不得手があります。お互いが役割分担し、弱点をカバーし合う画期的なシステムであります。
またユーザーにとって車の”燃費”は重要なファクターです。ガソリンはお金出さないと買えませんが、電気は”走る”ことで一応作ることができる。燃費の一部を自分で作った電気で置き換えることができ、環境にも優しいハイブリッド車の登場はまさに革命でした。ちなみに外部から充電し、完全にモーターのみで動くのがEV―――電気自動車な」

「なんで最初からそうしなかったのよ」

「第一回の時にちょろっと言ったでしょ。昔は自動車くらい重いモノを動かせるモーターやバッテリーを作ろうとすればどうしてもデカく重くなっちゃって逆に燃費悪くなるし、電気もバカみたいに食うから充電も間に合わない。全く使い物にならなかったんだよ。技術の進化でモーターの小型化とバッテリーおよび発電機の性能が上がって、ようやく実用に足るものが出来るようになったってこと。ちなみにここでいうバッテリーは前回話してたものとは全く別物ですよ。モーター専用のデカい駆動バッテリーってのが見えない場所にドンと搭載されている」

「ハイブリッドではあんな小さなバッテリーじゃ間に合わないんですね」

「いや、あの12Vバッテリーも一応付いてるよ。補機バッテリーっていうんだけど、ハイブリッドのメインシステム起動用にトランクルームの片隅に隠されてる。コレが上がっちゃうと駆動バッテリーがいくら満タンでもウンともスンとも言わなくなる。見た目は普通の12Vバッテリーと同じなんだが、車内に置くという都合上、気化ガスを車外に排出するためのパイプが付いてたり、低電流・長寿命に特化した構造になってる。値段も1.5~3倍くらい違う

「2系統あるんだからイロイロとヨケーなモンが増えるのはまあ仕方ないか」

「さっき柴木君が言った”普段はモーターで走り、バッテリーが減ったらエンジンに切り替えて――”ってのは『パラレル式』というハイブリッドシステムの種類の一つでね。他にはエンジンが発電機を回す役、モーターが走行の動力役として完全に専業化している『シリーズ式』や、パラレルとシリーズを状況に応じて使い分ける『スプリット式』というタイプがあります。こっちが今は主流かな」

「オルタネータの性能もだいぶ進化したんでしょうねきっと」

「あー、正確に言うとハイブリッドには従来のようなベルトで駆動されるオルタネーターは無くて、エンジンやモーターのシャフトと同軸上にあるみたい。しかも制動時には駆動モーターが発電機として働く「回生ブレーキ」という裏技まで使ってる。前回ちょっと話したでしょ?モーターと発電機はよく似た構造で、入力と出力を入れ替えればどちらにもなるって」

言ってたような気がしなくもないような微かな記憶があるような無いようなそうでもないような

本来ブレーキによって「熱変換」され無駄に捨てられる運命だったエネルギーを、発電に利用して電気として再回収してんの。この無駄のないエネルギー還元こそが驚異的な燃費を叩き出すハイブリッドの秘密なのだ」

「確かに賢い!」

「電気作ったり使ったり再利用したり忙しーなハイブリッド」

インバーターという装置に内蔵されているDCコンバーターっちゅーのがその役割を担ってます。インバーターはハイブリッド車の心臓部みたいなもんで、直流↔交流変換器や電圧制御なども担ってる。まあ君らは知らんでもエエわそんなん」

「この先どんどん進化したら、モーターに使う電気も全て走りながら自家発電できちゃう充電要らずなEVとか開発されるのかな」

「そういう永久機関的なものは地球上である限り原則として不可能です。質量保存の法則とかエネルギー保存の法則とか知らんのかい」

「物質やエネルギーは姿形を変えて移動することはあっても、何もないところから突然現れたり、忽然と消失したりはしないってやつね」

「日本語でおk」

日本語やっつに。充電不要なEVってことは走行に100のエネルギーを消費した時に100以上の発電を出来なきゃいけないってことだが、電気は走行以外のことでもガンガン使うし、地球には重力も空気抵抗も摩擦もあるからエネルギー変換には必ず損失が生じる。どうしたって発電が追い付かないんだよ」

「使った分以上のエネルギーを生み出せるシステムがもし存在したらノーベル賞どころの騒ぎじゃないわね」

一番近いところは”核”なんだろうけどハードル高過ぎるしな

そんな車ゼッタイ乗りたくねえ

「そうでなくてもハイブリッドはまだまだお高いよね・・・」

「どうしても車重が重くなるからタイヤの減りが早いとか、精密さゆえに僅かな故障ですぐ走行不能になるとか、静か過ぎて歩行者が気付きにくくて逆に危ねえとか課題も多いよな」

「EVの問題点はどうなんです?」

「一回のフルチャージで走れる距離や充電時間などが問題視されてたけど、最近じゃ随分改善されてきたようです。でも冬が苦手なとことかチャージステーションの普及率とか電池の安全性とかまだまだイロイロあるわな。チョイ乗りには向いてるし、それぞれの特性と自分の運転事情をよく照らし合わせてマッチした車を選べばいいのよ」

ガソリン代ゼロは確かに魅力だもんねぇ

魅力だよねぇ……(遠い目)」

「TACさん、月のガソリン代は?」

1万円超……(涙目)」

「月のお小遣いは?」

にまんえんくらい……(死んだ目)」

(続…?)

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